PAHの治療
監修:福本 義弘 先⽣ 久留⽶⼤学 医学部 内科学講座 ⼼臓・⾎管内科部⾨ 主任教授
PAHの治療薬には、肺の⾎管を拡げるお薬と、肺の⾎管の細胞が異常に増殖するのを抑えるお薬があります。
肺動脈性肺⾼⾎圧症(Pulmonary Arterial Hypertension:PAH)治療薬では、息切れなどの症状やPAHによる活動の制限を改善すること、病気の進⾏を抑制することを⽬指します。
PAH治療薬による治療
PAHの治療では、定期的に検査を⾏い、適切なタイミングでお薬の追加・変更を検討することが重要です。
PAHと診断されると、病状に合わせて治療⽅針が検討されお薬が選択されます。治療開始後も病気の重症度や治療効果を確認するために定期的なフォローアップ検査を⾏い、病状に応じて治療の追加または変更を検討します。
PAH治療薬による治療の流れ
患者さんの病状に応じて、PAH治療薬以外の治療を⾏うことがあります。
PAH治療薬以外の治療
主治医とのコミュニケーションについて
〜SDMの重要性〜
※ SDM:共有意思決定
PAHの治療では、主治医・看護師・薬剤師とともによく話し合いながら、あなたにとって最適な治療を進めてくことが⼤切です。
SDM(Shared Decision Making:シェアード・ディシジョン・メイキング)とは?
患者さんと医療従事者がお互いに情報共有をしながら、⼀緒に治療⽅針を決めていく⼿法で、⽇本語では「共有意思決定」などと呼ばれています。SDMでは、患者さんと医療従事者がお互いに何を重要かと考えているかを理解するために、⼗分なコミュニケーションが必要とされます。
SDMにおける情報共有
主治医が情報を伝えるだけでなく、あなた⾃⾝も⽣活習慣や考え⽅、治療の⽬標、症状の変化を共有することが⼤切です。治療することで叶えたいこと、実現させたいことを主治医に共有し話し合うことは、あなたにとって最適な治療法の選択につながります。
⼼配なことや困っていることがあれば遠慮せずに質問し、前向きに治療を受けましょう。症状/治療⽬標の記録・共有には肺動脈性肺⾼⾎圧症(PAH)⼿帳をご活⽤ください。
監修:福本 義弘 先⽣
久留⽶⼤学 医学部 内科学講座 ⼼臓・⾎管内科部⾨ 主任教授
医学博士。九州大学医学部卒業後、循環器内科を専門に研究と臨床に従事。九州大学、ハーバード大学での経験を経て、東北大学で本格的に肺高血圧診療に携わる。現在は久留米大学で心臓・血管内科の主任教授として、肺高血圧診療を含めた循環器診療を行っている。また、久留米大学循環器病研究所の所長も兼任。日本循環器学会認定循環器専門医として、患者の健康を守るための診療と啓発活動に注力している。